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メンヘルリレー小説はじめました。。

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 15:44 ID:cI1v2TLv
モナーは走っていた。
朝もやの立ち込める中、誰もいない道をモナーは走り続けていた。
まわりには田畑が広がり、古い民家がぽつりぽつりと建っている。
ところどころに雑木林が茂り、その向こうには山々が立ちはだかっている。
山間にある寂れた農村の、静かな朝だった。
はぁ、はぁ。
息が切れる。もう何日もベッドに寝てばかりいたから、体力が落ちていた。
横っ腹が痛んで、モナーの顔は苦痛に歪んだ。足がもつれる。
自ずと、速度が落ちていた。怯えたようにモナーは後ろを振り返る。
誰も追ってきてはいなかった。
これ以上は走れない、とモナーは思った。すこし休もう。
うち捨てられた古い民家が、モナーの右手に見えた。
家の周囲には雑草が茫々と生い茂り、玄関のガラス戸は割られていた。
恐る恐る、モナーはその中に入ってゆく。なかはしんと静まり返っていた。
扉を閉め、玄関の床に座りこむ。
そのときモナーは、自分の右手にまだ鍵が握られたままになっていることに気づいた。
看護師から奪った鍵だった。
モナーは閉鎖病棟から逃げ出してきたところだった。

2 :◆gremlinYJM :04/03/25 16:18 ID:7y4Ch1Xe
2バ━━━━^( ・◆・)^━━━━ン!!!

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 16:19 ID:TMuK+gno
モナーは数時間ほど前まで、精神病院の閉鎖病棟でベッドに横たわっていた。
病室の灰色っぽい壁の所々には染みや罅が刻まれ、蛍光灯には薄黒い煤がこびり付き、
一人部屋であるその空間は、まさに『閉鎖』と呼ぶに相応しい孤立的な雰囲気で満ちていた。
扉の向こう側にある廊下は静まり返り、物音一つ聞こえてこない。
モナーは考えていた。既に何度も練り直したその計画をこれからいかに円滑に
進めていくかだけを考えていた。時計を確認すると午前4時。看護婦が見回りに来る時間には
まだ十分余裕があった。ベッドの傍にある窓から見える空は明るみを帯びてきている。
不思議と不安はなかった。これから自分が起こそうとしている事が全てうまくいくという
根拠のない確信に満ちていた。あまりに多くの失敗、挫折、妥協を背負ってきた彼なのに、
最早それらの負のイメージはどこにも無かった。何が自分をそういう気持ちにさせているのか、
モナーには判っていた。
突如、「ドゴン!!」という轟音と共にモナーの思考は強制的に中断された。
隣の部屋からだった。

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 20:30 ID:I+yvBJO+
隣の部屋にUFOが墜落した。

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 21:16 ID:/c7bz/5T
と思ったが、急いで病室を飛び出し隣の部屋のドアを開けると、
そこにはなんと!!!

6 :湾岸戦争の思い出 ◆rusuMPlVYo :04/03/25 21:49 ID:FB5FP6EV
乳首にピアスをした女が全裸で立っていた。女は外国人だった。
「オニイサン、オトコマエダネ、オニイサンナラ、ゴムツケナクテイイヨ」
女は片言の日本語でそう言い、モナーに近づいてきた。

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 22:23 ID:/c7bz/5T
なにかおかしい・・
そう思いながらも
モナーの体は反応している。


8 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 22:54 ID:XwP6KCt3
「ごきげんよう」
モナーはとりあえず返した

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 23:16 ID:3spO0WO5
そうしたら天井から髪の毛が降りてきてモナーの首に巻きついた。
そしてそして、なんと上へ引き上げていく。
いつの間にか足元には白塗りの子供がやってきて、そしてモナーの足をブランコのように揺らす。
そして足先が壁に当たり、「ドゴン、ゴッン!!」と音を立てる。
時間は午後11時半、モナーは薄れ行く意識の中で悟った。いつもこの時間に聞こえていたあの音は、実はこの音だったのだと。

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 23:20 ID:uDHBUlOa
物音にあわてて病室を飛び出したためモナーは裸足のままだった。
少し磨り減ったリノリウムの床の冷たさがモナーの思考を現実へと呼び戻した。
外人の女だと思った彼女は・・・

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 23:49 ID:/c7bz/5T
「うわぁぁぁぁ―
ふぅ・・夢か・・」
モナーは自分の叫び声で目を覚ました。
もう一週間も同じ夢を見ている。
この夢がのちにモナーの身にふりかかる出来事を暗示しているとは、その時のモナーには知るよしもなかった。

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 23:53 ID:8eFOH4WI
 巨大な雌の乳牛だった。金色の輪飾りが、ぬめぬめとした黒い鼻先に揺れている。
「もおーーー」雌牛は涎をながしながら、リノリウムの床に脱糞した。

モナ−は、金色の輪飾りをじっと見つめていた。キラリと蛍光灯の光が反射して
ふいにモナ−は、自分のみすぼらしい姿が悲しくなった。裸足の足は赤黒く汚れ
色の変わった刺身のように冷たい床の上でかじかんでいた。

「オニイサン ヘタクソネ マグロ マグロ」そう言うと雌牛は目だけで笑った。   

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/26 00:07 ID:7smrBt9w
オニイサン ヘタクソネ マグロ マグロ

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/26 01:23 ID:nebEpJkA
『古い民家。山。朝もや。閉鎖病棟の鍵。
 外人女。墜落したUFO。天井から降りてきた髪の毛。
 白塗りの子供。リノリウムの床。雌牛。オニイサン。マグロ』

 モナーは枕の下に隠してある、『夢日記』に頭の中に渦巻く単語を
書き並べた。関係している言葉はなにもない。まるで土星の輪と商店街の
ドーナツショップのように。でも、何かひっかかる。

「物事には裏がある」モナ−は言葉に出して言ってみた。 



15 :ムキンポ:04/03/26 17:39 ID:KD3diuml
けれどモナーには、「裏」を紐解くすべがなかった。
表側にいる存在にとって、壁を隔てた裏側はどこまでも謎めいた闇なのだ。
解けない謎を推理することを諦めて、モナーは病室のベッドの上に身を起こす。
ペタペタと廊下を歩く音が、部屋に近づいてきた。
「おはようございます。今日はシーツ交換ですよ」
元気のいい声とともに、看護師たちが部屋に入ってくる。
水曜、朝の8時40分。週に一度のシーツ交換の日だ。
看護師たちは、ベッドの周りにめぐらされたカーテンを開けてまわる。
カーテンで仕切られたベッド周辺だけがプライベート空間であるこの入院病棟で、
有無を言わさずテリトリーを侵してくる彼女らは、モナーにとって脅威だった。
「シーツを交換しますからね。ベッドから起きてくださいよ」
まだ眠りの中にいる患者を、優しくも無理やりに起こしてゆく。
夜は眠剤を飲ませて寝かしつけ、朝は布団を剥がして起こすのだから、たまらない。
彼女らにとっての患者は、動物園の飼育係にとっての動物と同じである。
飴と鞭でいうことをきかせ、おとなしく檻の中に閉じこめておくのだ。
ベッドに腰掛け、夢日記をひざの上に乗せたまま、モナーはそんなことを考えていた。
「おはようございます。何を書いてるんですか?」
モナーを起こしに来た若い看護婦が、笑顔を見せながらノートをのぞき込んだ。
シィ、という名の看護婦であった。
端整な顔立ちに、細い身体。白い制服が彼女をいっそう映えさせていた。
美しかった。
一瞬、彼女の姿に見とれたあと、「何でもねえよ」とモナーはノートを閉じる。
「白塗りの子供、リノリウムの床、雌牛? なんだか詩人ですね」
閉じるまえに目ざとくも盗み読んだ数個の言葉を、シィは言ってみせた。
モナーは舌打ちした。
美しさに騙されてはいけない。そう、自分を諭す。
笑いながらこう言っているが、
看護記録には「ノートに意味不明の言葉を書いている」と記すのだろう。
医療職の笑顔は偽りだ。
モナーは思った。
世界は偽りに満ちている。

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/27 00:09 ID:t8f18qpu
 モナ−は交換されたばかりのシーツの上に、ごろりと寝そべった。
糊の効いた固い木綿が、昨夜のリノリウムの床のざらざらとした
感触によく似ていた。モナ−の脳裏には、シィの華奢な後ろ姿が焼き付いていた。
 細くて頼りない首筋やすんなりとしたふくらはぎ。閉鎖病棟のベッドの間を
ひらひらと飛び回る白いモンシロチョウのような、軽い足取り。

「ほうら、また騙されてる。馬が卒倒するような注射してあげようか?」

 突然、ベットの下から声がした。



17 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/27 16:14 ID:VXiqXPsy
 モナ−は驚いて、ベッドの下をのぞき込んだ。

 しかし、白いティッシュペーパーのカタマリが落ちているだけだった。
 このティッシュが喋ったのか? モナ−は信じられない思いでテニスボールほどの
大きさのティッシュを見つめる。頭に血がのぼり、無理な姿勢でいるために
圧迫されたモナ−の腹部はどくどくと血管が脈打っていた。
 
「どうしたんですか?」

ふいに、明るい女の声が頭上から降ってきた。慌てて起き上がると
いつのまにか、シィが立っていた。輝くような白衣よりも口元にのぞく歯が白い。
血圧計と体温計をもって、モナ−をおだやかな笑顔で見守っている。
「いや、ちょっと、あの、声がして……」狼狽してモナ−は口籠る。
「声? あら、誰かいるのかしら?」シィは屈み込んで、ベッドの下をうかがった。
「ティッシュペーパーが落ちてるけど、誰も居ないみたいですねえ」シィは
笑顔を崩さず、モナ−にやさしく語りかける。
「いや、馬にする注射が何とかって声が……」モナ−は小さな声でつぶやく。
「馬に注射? モナ−さんは獣医さんになりたいんでしたっけ?」

モナ−は無言でうつむいた。看護記録には「ティッシュペーパーと会話」
「馬に注射をするなどの、幻視、幻聴」と書かれる様子がありありと目に浮かんだ。



18 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/28 01:33 ID:tywt/rrN
「看護婦さーーん、看護婦さーーん、出してくれーー苦しいよーー」
その時、隣の病室から、叫び声が聞こえてきた。

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/28 02:01 ID:t/sjeOJt
モナーがその声に反応したのは一寸のことだった。
幻聴らしきものを聴いた直後だからだろうか。
それともその叫び声があまりにも金切っていたからだろうか。
どちらか、両方か、またそれ以外が理由かはわからないが、モナーの脳は聴覚よりも視覚を優先した。

振り返り際に露になったシィのうなじ。
うなじという部分に何かを感じたのは初めてかもしれない。
そのトグロ、ないし渦に飲み込まれそうになった。
酔う。

僕だけを助けてくれ。

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/29 04:40 ID:r2dqK20+
ここは重複か?
モナーの左隣の部屋の男は悩んでいた

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/29 17:35 ID:haHsu2v8
 ここは重複なのか。ここは。重複か。

虚ろな瞳で虚空を凝視しながら男は考えていた。ここが重複であるか否か。
もうずっと、悩み続けていた。それを考え初めてどれだけ経ったのか、
彼には分からなかった。十分のような気もしたし、十年のような気もした。

 重複かここは重複か? 重複はここか?

けれどその瞳と同じく、彼の頭もひどく淀んでいた。彼はその頭のなかで何かを
模索していたが、なにひとつつかむ事はできなかった。考えども考えども
進まぬ思考は、ぬかるんだ泥沼を歩くようであった。ただ「ここ」、「重複」
という二つの言葉だけが、唯一の手がかりのように思っていた。
迷子が母に手渡された読めぬ地図をにぎりしめるように、
その二つの言葉を忘れぬように頭の中で繰り返していた。

 重複かここは重複か?

男は考えながら、体を前後にゆする。頭の中でくり返される同じ言葉に、
彼はいらだちはじめていた。体が前に倒れるごとに、頭がゴツ、ゴツ、と
壁にぶつかった。

 重複かここは重複かここは重複かここは重複かここはじゅうふくかここはジュウフクカ
 ココハジュウフクカココハジュウフクカココハジュウフクカココハジュウフクカココハ

「ギコ、頭をガンガンぶつけてたらバカになるぜ」
音を聞きつけた男の看護師が部屋に小走りで入り、そう言いながら彼をベッドに押さえつけた。

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/29 23:49 ID:aQ1/lqZZ
 看護師は、ギコをベッドに押さえ付け、素早くパジャマのケツをめくる。
 そして競走馬用の注射器を――この看護師は元獣医だった――ギコの
蒙古斑も鮮やかな、固い尻に突き立てた。
「ココハジュウフクカ!!」ギコは泡を吹いて、叫ぶ。
 その叫びを最後に、内出血のために葡萄酒色に変化したギコの頭部は
ぐにゃりと反対側に曲がった。

「ここは重複なのか?ギコ」看護師はやさしくギコの額をなでながら尋ねた。
 ギコは、小指一本、動かさず、白目を剥いている。
 看護師はやさしくギコに毛布をかけた。しかし、ギコの身体は油を吸った鰺フライの
ように大きく反り返っていて、毛布は上手く掛からなかった。

「完璧な重複なんてものは存在しない。完璧な双児が存在しないようにな」

 看護師はギコの部屋の鍵をかけ、腰に下げている金色の輪飾りに、その鍵をつないだ。
 そしてティッシュペーパーで鼻をかみ、丸めたティッシュをベッドの下に投げた。

 

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/30 05:22 ID:tud4yXpX
モナーは我に返ると叫び声に「ドン、ドン」という音が重なっていることに気が付いた。
左の部屋からだ。それはベースかドラムかといった風に正確に力強くリズムを刻んでいる。
そのリズムに右の部屋からボーカルが乗る。

「出してくれー!」「ドンドン」
「苦しいよー!」「ドンドン」
モナーは少し笑う。そして自分が笑ったことに苦笑する。

先に演奏をやめたのは左の部屋だった。
代わりに「ジャラジャラ」という金属らしき物のパーカッションの音が鳴りだす。
ボーカルはメロディを変え歌い続けている。
「あああああー!」「ジャラジャラジャラ」

パーカッションは右の部屋の前あたりで止まり、続けて「ボカッ」という音を出した。
ボーカルは歌うのをやめた。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/30 20:10 ID:Hwq8GG1H
「ジャラジャラジャラ」
パーカッションの音だけが遠ざかっていく。
そして「ガシャーン」という鉄格子が閉まる音が、廊下いっぱいに響いた。
モナ−は右隣の部屋から何か聞こえてこないかと、壁に耳をつけてみる。
しかし、エア−コンディショナ−の低い唸りが、壁を伝わって聞こえてくるだけだった。

両隣りの住人は、どうなってしまったのか?

モナ−は、血圧計と体温計を抱えたシィに、すがるような視線をむけた。



25 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/30 23:28 ID:aQxyDvJk
シィは黙ってモナ−の腕をとり、血圧計のベルトをゆるく巻き付けた。
そして黒いゴムボールのような加圧ポンプを握るとゆっくりとベルトの中へ空気を送り込んだ。
「シュコ、シュコ、シュコ」
音のない病室にポンプの音だけが、やけに大きく響いた。
「はい、けっこうです」
彼女は空気でふくらんだベルトを開いて、モナ−の腕を解放する。
そしてプラスチックの電子体温計をモナ−の耳にあてると
ピッピッと音をさせて検温を終えた。
彼女の白い頬には、職業的な微笑みが張り付いている。
「お熱もないですね。じゃあ朝食にして下さい」
シィは記録用紙に数字を書き込むと、くるりと踵を返した。
「ボカッってすごい音がしたけど、隣の人は大丈夫かな?」
モナ−は慌てて質問を投げかけた。だが彼女は振り返らずに病室を出ていった。
「ガシャーン」という重い鉄の扉が閉まる音がまた聞こえた。
モナ−は演奏会の最後に打ち鳴らされる、金色のシンバルを思い出した。


26 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 16:46 ID:mpjDRNeq
――仰せの通り、ギコにあの薬を投与し、隔離室に入れておきました。

狭い部屋で、二人の男が話していた。ぼそりぼそりと話す口ぶりから察するに、何やら言外ならぬ
内容のようである。

――うむ、ご苦労。

 ひとりは長身の男であった。八頭身はあろうか。錆びたパイプ椅子に座っていたが、その頭部は
並の背丈の人間が立ったときにある位置にあった。
 テーブルを隔てた向い側に座るもうひとりは、白衣を着た小男だった。体格は小さかったが、
ソファーにのけぞって座るその態度は大きかった。目を細めて煙草の煙を吸いこみ、天井に
むかって吐き出す。

――ギコに副作用が現れていますが、如何なさいますか。

 八頭身が小男に問うた。小男は唇の端を吊り上げ、いびつな笑いを浮かべる。

――心配ない。どうせ精神を患ったゴミどもだ。そのままにしておいても誰も文句は言うまい。

 言って、小男は下卑た笑い声をたてた。

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 17:08 ID:mpjDRNeq
 検温を終え、ナースステーションに戻ったシィは、患者のデータをフローシートに転記していた。そこに、
席をはずしていた医師のモララーが戻ってくる。
「モララー先生、ちょっといいですか」
 シィは手をとめて、モララーに声をかけた。モララーは自分の席に着くと、シィをちらりと見る。煩わしそうな
表情。彼の目は、凍りつくような冷たさをもっていた。
「何?」
 モララーは短くそう尋ねた。
「モナー様のことなんですけれど」
 シィは手短にモナーの幻聴めいた発言について話した。モララーはシィの胸元に視線をおいて、
無表情に聞いている。シィの話を聞き終わると、モララーは即答する。
「そう。じゃあ彼は、Sだね」
 エス。シゾフレニア。統合失調症のことだった。あまりにも速い診断に、シィは戸惑った。
「でも、彼は、人格障害ということで入院してこられたはずでは……」
 モナーはここに入院する以前、小さなクリニックに通院していた。そこの医師が付けた診断名は、
反社会性人格障害だった。
「よくあるんだよ。統合失調症と人格障害の誤診なんて」
 そう言って、モララーは机の上に広げたカルテに目を移す。
「まって下さい。ちょっと変だと思うんです。彼には急性期の統合失調症患者に見られるような、
混乱した感じはないんです。それに、『馬の注射』という幻聴、確か、ギコ様にも聞かれました。
彼も人格……」
「うるさいな。何が言いたいんだ」
 低い声で言葉をはさみ、モララーはシィの発言を制した。明らかに怒りを含んだ声だった。目だけを
動かして、シィを睨みつけてくる。シィは怯んだが、自分の考えだけは伝えようと思った。
「薬の、副作用ではないかと……。いま試されている治験薬、あれを投与された患者にだけ『馬』の
幻覚は起こっているんです」

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 17:17 ID:HpGj14rF



くだらねえスレ。なんでこんな文章かいてんの?




29 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 17:23 ID:mUsf9H1O
ここにくる人ってみんな元気なんだねぇ。
あたしゃ、長文読むのも書く元気もない。あぁ、、、浦山^^

30 :駄文ですが。from携帯:04/04/01 17:58 ID:5Uytdp10
「あの薬は安全だ。」
モララーはそれだけ言うと、怒ったように彼の診察室に戻っていった。
シィの心の中は、揺れていた。

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 02:41 ID:kjA/JtzA
 モララ−医師は診察室の椅子に、身を投げ出すようにして座った。
 彼の身体は、やわらかな子牛皮のひじかけ椅子に、ドサリと沈んだ。
 この椅子は、わざわざイタリアから取り寄せた、彼のための特注品だった。
 それとは対照的に、患者用の椅子は寒々しいスチール・パイプで出来ていた。
 もちろん、これも彼の意図したものである。

 彼は、重厚なマボガニ−の机の引き出しを開け『ギコ』と書いてあるカルテを取り出す。
 通常、患者のカルテは持ち出しのできない「カルテ室」で保管されているのだが
この閉鎖病棟では何もかも、ある目的のために「特例」がまかり通っているのだ。

『ギコ 投薬指示 治験用アンプル 20倍量投与』

『頻回に 意識消失発作』 

『深部反射のみ反応 昏睡 微弱な自発呼吸』
 
 カルテをめくるモララ−医師の目に、苛立ちがゆらゆらと浮かんでいる。

――あの看護婦は敏感すぎる。それに患者に感情移入しすぎている。

 突然、彼は立ち上がると、診察室の奥にある、小さな部屋に入っていった。
 この部屋の中には無数のテレビモニターがあり、病棟中に設置されている監視カメラの
画像を見ることができるのだ。彼は画面を見渡し、シィを探した。

 シィはギコの部屋の前に立っていた。



32 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 17:05 ID:T1UZr13n
シィはギコの隔離室の前で、中の様子をうかがっていた。
部屋の中からは、何も聞こえない。
ドア−には鍵がかかっていた。
ドア−のはるか上の方に格子の嵌まった小さな窓が開いているが
シィの身長では、その窓には届かない。
この窓から中をのぞけるのは、おそらく、あの看護師だけだろう。
八頭身で背の高い男の看護師。
あの男は病棟の鍵を管理していて、シィには決して触らせようとしないのだ。

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 17:22 ID:Bttvm4SL

なにが、 八頭身で背の高い男の看護師、だ。

あほとちゃう?

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 18:02 ID:T1UZr13n
シィは誰かの視線を横顔に感じて、ビクリと震えた。

『八頭身で背の高い男の看護師』

馬のように長い首と小さな頭、長く細い足をもった男が
ジャラジャラと鍵音を響かせて、シィに近付いてきた。


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